cooked food on white ceramic plate

アスリートの食事・栄養について考える:サプリメントってどうなの?

アスリートがバランスよく食事することは基本中の基本と言われて久しいです。

しかし、それだけでなくアスリートの食事や栄養バランスについてもっと気になる方もおられるのではないでしょうか?成長期のお子さんがスポーツされている場合は、特に食事について考えることも多いはず。

実際、アスリートはバランスの良い食事だけでは栄養素が不足することもあります。それは身体活動量が多いから。例えば、「そんなときはサプリを摂れば良い」とお聞きしたことはないでしょうか?

今回は、アスリートの食事・栄養における課題と話題に上がりがちなサプリメントについての考え方を共有します。

アスリートの栄養課題

上で述べたアスリートがバランスの良い食事だけで栄養素が不足する理由とはなんでしょうか?

① エネルギーや栄養素の必要量が多くなるのに食べる量には限界がある

② 運動中は効率よく消化・吸収ができない

③ 運動時間が長くなると消化・吸収を効率よく行う時間が短くなる

鈴木志保子「理論と実践 スポーツ栄養学」p.12|日本文芸社 2018

以上のことから、たくさん身体活動をして、エネルギーの消費量が多いアスリートは栄養素が足りなくなりがちと意識することが大切になります。

また、この条件から、アスリートは相対的エネルギー不足スポーツ貧血になるリスクがあると言えます。これは疲労骨折などに繋がる危険性もあります。

これらリスクについての詳しい内容についてはここでは割愛しますが、とにかくバランス良い食事で摂取する栄養素と身体活動量のバランスが大事であると意識しましょう。そして栄養素が不足している場合は、エネルギー源となる糖質、脂質、タンパク質の摂取を優先して考えます。

糖質=穀類のご飯や麺類などの主食、脂質=オリーブオイルや魚類(不飽和脂肪酸の割合を多く)、タンパク質=肉類・魚類・卵など主菜のイメージです。

いつサプリメントを活用する?

いよいよサプリメントについての考え方について触れていきます。

以下は、成人アスリートがサプリメントを利用する上での判断基準の一つです。

判断条件具体的な例
身体活動量が多くなり、食事からとりきれない場合身体活動量が多くなるのにともないエネルギー・栄養素の必要量が多くなり、食事量が増加するのに必要量を食べきれないとき
消化・吸収の時間が短い場合食事時間や食後の休憩時間が十分に取れないなど、エネルギーや栄養素の必要量を摂取できないとき
食事に偏りがある場合好き嫌い、食物アレルギー、合宿・遠征などで食環境が悪いとき
食事の制限により摂取量が少なくなる場合減量中や病気のとき
食欲がない場合緊張していたり、疲労していたり、予定している食事をすべて食べることができないとき
胃腸が弱っていて、消化・吸収の能力が低下している場合胃腸の状態が悪いとき
特定の栄養素を摂取しなくてはいけない場合増量・トレーニングの状況によって、増やさなければならない栄養素があるとき
出典:鈴木志保子「理論と実践スポーツ栄養学」p.71 日本文芸社 2018

こういった具体的な例を参考にそれぞれが判断することが大事となります。サプリメントを利用する際には、食事からの栄養素の摂取量が必要量を満たしているかどうかを調べ、不足している栄養素があればサプリメントで補充するようにしましょう。

ただ、あくまで栄養素を補うものなので、出来ればサプリメントを活用する際は管理栄養士の方やスポーツ栄養士の方からのアドバイスを受けることがオススメです。

成長期の子どもにサプリメントはOK?

上で紹介した判断基準は成人アスリートが対象となる判断条件でした。

では、成長期のお子さんに関してはどうでしょうか?

結論から述べますと、基本的にサプリメントの摂取は控える、ことが言われています。成長期のお子さんの「運動量は食事と捕食からエネルギーと栄養素を摂取できる範囲に留めておく」べきだからです。

それ以上の運動量をお子さんがこなすことで、オーバーユース症候群、貧血、やせ、疲労骨折、無月経(初潮遅延を含む)などを起こし、発育発達に支障をきたしてしまいます。発育発達に回すエネルギーを保たないといけないということです。

しかし、東京都のスポーツ少年団に所属する小中学生のサプリメント摂取率は男女ともに30%以上と多く、それぞれのご家庭で正しい知識を身につける重要性が高いと思われます。

まとめ

いずれにせよ、栄養のことを考えるのであればまずは食事の見直し。そして、成長期のお子さんに対しては食事から摂取できる栄養素と身体活動量のバランスに注目してみましょう。成人であればサプリの活用も視野に。

また、それぞれが勉強することもとても大事です。ぜひ、この機会に深掘りしてみてはいかがでしょうか?今回の記事の参考文献の著者、鈴木志保子さんの本などは分かりやすく・実践しやすいと思うのでオススメです!

【参考】

鈴木志保子「理論と実践スポーツ栄養学」|日本文芸社 2018

鈴木志保子「競技力向上のためのサポート」|生体の科学 71巻 3号 2020

Chapter1. サプリメントの活用|スポーツ栄養Web

(文・青井一真)

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